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創作とTRPG

【PKBセッション】スノーマンは笑わない後日談

2016/12/25に立卓したピーカーブー・オリジナルシナリオ「スノーマンは笑わない」の後日談です。ネタバレ含みますので注意。
PCの伊御くんをお借りしています。

 

 
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 優太はその日、一日呆けていた。
 学校でもムードメーカーで通っている彼が、机でぼんやりしているのはある意味異変である。それを、同じクラスメイトの伊御が息をつきながら眺めていた。
 事は冬休み前にさかのぼる。
 とあるハグレオバケによる事象、雪が降りやまない事件を解決した伊御と優太であるが、それによってついてきた結果には素直に喜べなかった。幼いながら、利発な伊御には寂しい気持ちを押し込めて気丈に振る舞うだけの余裕があったけれど、まだまだ精神年齢の低い優太にはそれは無理だったようだ。初めは意味すらわかっていなくて、その日はただきょとんとしていたが……兄である祇朗に教えてもらったのか、休み明けの学校で文字通り表情をなくしている彼を見つけてしまうと少し伊御もそわそわとしてしまう。彼にそういう顔は似合わない。いつでもうるさいくらい騒がしく、明るいのだから。

「……優太」

「あ、いおっち。どうしたんスか」

 あくまで普通を装うとしているが、表情は硬い。休憩時間に優太に話しかけた伊御は、しかし言葉が見つからなくて少し考える。何を言っても、それは気休めでしかない。伊御だって慰めてもらいたいくらいなのに。

「……気にすること、ないっす」

 無表情でうぇんでぃごが声をかける。優太のスプーキーだ。普段は小さい小人のような姿で優太の傍にいる。本来は大人の人間と大して変わらないらしいが、伊御はそれを見たことはない。見た目は小さい男勝りの少女といった風だが、舌がひょろりと長いのだけ、人間離れしている。
 ちなみに伊御のスプーキーは、いつもめんどくさがって学校には来ない。たまに、予期せぬところで実体化して学校についてきたりもするが……。憎まれ口ばかり叩くけれど、とてもかわいいと伊御は思っている。本人には簡単に言ってやらないけれど。

「俺、なんも気にしてないッスよ……」

「優太……ぼくも、優太が気にしてるんじゃないかって」

「いおっちも、ゆっきーも、心配性ッスね~。俺は平気ッス!」

 優太が握り拳を作った。伊御も苦笑する。無理しちゃって。

「でも、まあ……ありがと」

 もごもごと優太が口を動かす。そっぽを向きながら漏らした小さな声は、しかし伊御にははっきりと聞こえた。どうして普段はうるさいくらい感情豊かなくせに、こういう時恥ずかしがるんだろう、と伊御は思う。
 にこりと笑って、優太の肩に手を置いた。

「そろそろ、おにいさんのお菓子がたべたいな。ぼくも手伝えればいいんだけど」

「あ、兄貴今日お休みなんスよ! 喜ぶッス!」

 ぱっと表情を変える優太に、伊御は一緒に笑った。やっぱり笑顔がいいなあ。
 あの事件は……確かに、悪者をやっつけて終わりと言えるような気持ちのいい件じゃなかった。でも、その胸の痛みは、確かにこどもをひとつ成長させるために必要なスパイスなのだろう。
 ”ぼくたちはまた一つ、大人に近づいた”
 それによって訪れるひとつの別れになど気づかないで、伊御と優太は拳を合わせたのだった。

 

 

 

 

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むにゃむにゃ……ピーカーブーはこの切なさが前提にあるのがよいです。
セッション遊んでくれてありがとうございました~~

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